農地の相続・遺贈

 農地を所有している方はご存知の方が多いと思いますが、農地を売買等するにあたっては農業委員会の許可が必要です(農地法3条第1項)。許可を得なければ、売買等は無効です(同条第6項)。

 しかし、農地を相続するのは売買等と異なるので、許可不要です。ただし、平成21年12月に改正農地法が施行され、相続された農地が放っておかれて耕作放棄地になることを防ぐため、農業委員会に相続の届出が必要になりました(同法3条の3)。権利取得したことを知った時から、おおむね10か月以内に届出をしなければなりません。届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、10万円以下の過料に処せられることになります(同法68条)。

 ところで、相続でなく遺贈の場合は、どうでしょうか。相続人に対する遺贈については、包括遺贈であっても特定遺贈であっても、農業委員会の許可は不要です。他方、相続人でない者に対する遺贈について、包括遺贈の場合は許可不要ですが、特定遺贈の場合は許可が必要となります。

 実家が農業を営んでおられるけれども自分自身は会社勤めをされている方など、相続に直面した際あわてないように、まずは事前に知識取得をしておかれることをおすすめします。