相続登記、住所等変更登記が義務化へ
先日のコラムで、わが国の所有者不明土地が既に九州本島(約367万ヘクタール)を超える面積になっているとお伝えしました。
今後、所有者不明土地の発生を予防するためには、所有者がどこの誰かを把握できるようにしなければなりません。そこで、令和3年通常国会において不動産登記法が改正され、相続登記の義務化等が定められました。
なかでも特に重要なのが、(1)相続登記申請義務化、(2)住所変更登記等申請義務化です。
(1)は、不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けるものです(改正後不動産登記法76条の2)。正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料に処せられることになります(同法164条1項)。
(2)は、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、その変更があった日から2年以内に変更登記の申請をすることを義務付けるものです(同法76条の5)。こちらも、正当な理由なく申請を怠ると5万円以下の過料に処せられることになります(同法164条2項)。
これまで、相続登記も住所等変更登記も義務でなく、手間・費用がかかるので、なかなか申請がされませんでした。しかし、これからはいずれも義務化され、罰則が定められましたので、無視は許されません。
改正法は、令和3年4月28日に公布されています。あわせて、(1)相続登記申請義務化は公布後3年以内、(2)住所変更登記等申請義務化は公布後5年以内、に施行されることが決まっています。
施行までには引き続き詳細が明らかになってくると考えられますので、今後も動向に注目していただき、必要に応じて、弁護士等の専門家へご相談いただくようお勧めします。