日本の国土の20%以上が、所有者不明!?

 

 所有者不明土地というのを聞いたことがありますか?

 「所有者台帳(不動産登記簿等)により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地」のことです。

 これが近年増加しており、社会問題になってきています。先日ご紹介した相続土地国庫帰属法も、所有者不明土地の発生を予防するという観点からできたものです。

 では現在、わが国にはどれだけの所有者不明土地があるのでしょうか?

 総務省等がオブザーバーとなっていた「所有者不明土地問題研究会」(座長:増田 寛也東京大学公共政策大学院客員教授)の最終報告(平成29年12月13日)によれば、平成28年度地籍調査において、登記簿上の所有者の所在が不明な土地は20.1%、面積にすると約410万ヘクタールに相当するそうです。九州本島の土地面積が約367万ヘクタールですから、既に九州本島を超える土地の所有者が不明とのことです。

 高齢化社会の末に多死・大量相続時代が到来し、何も対策がなされないと、令和22年には約720万ヘクタールまで増加が想定されています。北海道本島の土地面積が約780万ヘクタールですから、いよいよ北海道本島相当の土地が誰の所有かわからないということになってしまいます。

 所有者不明土地の問題がクローズアップされたきっかけは、東日本大震災後のことでした。土地が誰の所有か分からないと勝手には何もできないので、果断に進めるべき復興が進められないという問題が生じたのです。

 相続登記義務化のことも、後日このコラムで採り上げたいと考えていますが、所有者不明土地増加防止策の1つです。相続土地国家帰属法はまだ施行されていませんし、相続登記義務化もまだ実現していませんが、今後、所有者不明土地増加を防ぐための政策が、実行のプロセスに入ります。

 皆様の生活にも関係する事柄ですから、今後も動向に注目していただき、必要に応じて、弁護士等の専門家へご相談いただくようお勧めします。