所有者不明土地の利用円滑化を図る方策としての民法の改正(2/4回)

 前回は、所有者不明土地の利用円滑化を図る方策としての民法改正のうち、①財産管理制度の見直しについて紹介させていただきました。
 今回は、その民法改正4本柱のうち、②共有制度の見直しについて紹介させていただきます。これも、令和5年4月1日から既に施行されています。

 元々、民法で、各共有者は、持分に応じて共有物を使用することができると定められており(改正前民法249条)、共有者相互の関係を調整するために、
・共有物に変更を加える(農地を宅地に変更するなど)には、共有者全員の同意を必要とする(改正前民法251条)
・共有物の管理に関する事項(使用する共有者の決定など)は、各共有者の持分の過半数で決する(改正前民法252条本文)
・保存行為(補修など)は、各共有者が単独ですることができる(改正前民法252条ただし書)
といったルールが定められていました。

 しかし、実際に相続未登記状態にある不動産を調査した結果、相続人が多数に上っていることや一部の相続人の所在等が不明になっていることが判明する場合があります。
 そうすると、土地・建物の変更、管理について共有者間の意思決定をすることができず、また持分の集約も困難で処分をすることもできません。
 そこで今回の民法改正では、共有物の変更、管理についてのルールの見直し(民法249条~252条の2)、共有関係解消のルールの創設(民法262条の2~262条の3)が行われました。 

 そのうち重要なものを挙げると、まず、共有物に変更を加える場合であっても、その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(「軽微変更」といいます)については、持分の過半数で決定できるようになりました(民法251条1項、252条1項)。この軽微変更については、砂利道のアスファルト舗装や、建物の外壁・屋上防水等の大規模修繕工事が想定されています。
 そして、共有者の中に所在等不明共有者がいる場合には、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者以外の共有者全員の同意又は持分の過半数により、変更又は管理に関する決定を行うことができるようになりました(民法251条2項、252条2項1号)。

 さらに、共有者の中に所在等不明共有者がいる場合に、裁判所の決定を得て、共有者は所在等不明共有者の不動産の持分を取得することができるようになりました(民法262条の2)。また、所在等不明共有者以外の共有者全員が持分の全部を譲渡することが停止条件となりますが、裁判所の決定を得て、請求をした共有者に、特定の第三者へ譲渡する権限を付与することができるようになりました(民法262条の3)。

 これらのルールの見直し、創設を通じて、土地・建物の変更、管理について共有者間の意思決定をすることができるようになり、また持分の集約も容易にして不動産の処分をすることができるようになるということです。

 今回は、所有者不明土地の利用円滑化を図る方策としての民法改正のうち、②共有制度の見直しについて紹介させていただきました。
 ③以下については、引き続き紹介させていただきたいと考えておりますので、ご覧いただければ幸いです。