離婚調停の申立先

 離婚協議がうまくいかないとき、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てることになりますが、その申立先については管轄の問題があります。家事事件手続法は、「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する」と定めています(同法245条第1項)。

 しかし、調停申立前から既に別居していることも少なくありません。その場合、当事者が合意することは難しいと思いますので、結局、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てなければなりません。遠方にある自分の実家又は実家近くに別居される方が多いと思いますが、その場合、調停へ出席するのも一苦労ということになります。

 なお、例外的ではありますが、管轄外の家庭裁判所が、職権で自ら事件を処理することがあり、それを「自庁処理」といいます。当事者は、自庁処理の上申書を提出することになります。もっとも、自庁処理が認められるのは「特に必要があると認めるとき」(家事事件手続法9条第1項ただし書き)です。具体的には、幼い子がいて預けることもできないこと、心身の病気を抱えており移動が困難なこと、などを申し立てることになります。

 付け加えると、調停は本人出席が原則ですが(家事事件手続法258条第1項、51条第2項)、弁護士が代理人になっているときは、本人欠席でも調停を進めることが可能です。また、家庭裁判所が「相当と認めるとき」、当事者の意見を聴いた上で、テレビ会議システムを利用することもあります。